[実例シリーズ] の初回です。このシリーズでは主に製造業の会社さま向けに「こんなことが FileMaker で出来ます」ということをお客様の事例を元にしてご紹介したいと思います。
特に小さな機能に着目したいと思います。その方が「 FileMaker ってこんなことも出来るんだ」と思ってもらいやすいと考えています。
※ 本シリーズは実装方法をご紹介するものではありませんので予めご了承ください。
初回は、入力漏れがひと目で分かるように自動で色を付けて注意喚起するような実例を、別のサンプルファイルを使ってご紹介します。
このページでは次のような内容が書かれています。
- 入力漏れがあるか分からないという問題点
- どうするのがいいか、要件を確認する
- 実装結果と運用
- ながにぃの視点
- まとめ
入力漏れがあるか分からないという問題点
余談:僕は東京に住んでいますが夏も冬もエアコンをほとんど使いません。少し狂人がかっていますね笑。でもほんの 30~40年前にはエアコンはなかったんです。だから工夫次第で過ごせるはずだと思っています。もちろん最低限、夏は扇風機を、冬は小さな赤外線ヒーターを使いますけどね。まあ、お蔭様で頑強になっている気がします。ちなみに子供の頃は喘息持ちの病弱でした笑。「製造業の指示書管理」のデータ入力を仮想の業務とします。
件名、顧客名、納期、指示内容などがデータベースで管理されています。
その業務の中で、どういう問題点があるかを確認します。
■ 一覧画面
■ 詳細画面
詳細画面を見ると、一番下に「納入後評価」という項目があります。
これは、顧客への納入が済んだ後に、営業さんや制作者が完了後の評価として「高評価 / 中評価 / 低評価」を入れる項目です。
今後の社内戦略の指標にするため、ここは必ず入力しましょう、と社内で決めて FileMaker に実装しました。ところが・・・・・・
【 問題点 】
取引が完了しても未入力が多く出てしまい、データがスカスカな状態になりました。
特に営業スタッフは取引が完了してしまうと次の取引に意識が移ってしまい、どうしても忘れがちになるようです。
データが溜まっていかないため、このままでは指標として使えそうにありません。
さて、どうしたものでしょうか?
どうするのがいいか、要件を確認する
人間である以上、忘れるというのは仕方ない部分もあります。それを「忘れるな」と根性論で言うのはナンセンスなので、「人間は忘れる」ことを前提に、データ管理の仕組みでどうにかできないかを検討します。
なぜ入力漏れが起きるのか
まず入力漏れが起きる理由を探ってみます。評価の項目は、詳細画面に移らないと入力することが出来ません。
つまり一覧画面から詳細画面に一つ一つ入っては戻り、入っては戻る、ということをする必要があります。
この手間ひまが「入力は面倒だ、後でやろう」という無意識の行動を起こし、入力漏れを起こしていると考えられます。
◆入力漏れの原因をまとめると、次の2つがまずは考えられそうです。
① 評価の項目が詳細画面にある。② 入力するのにちょっとした手間がかかる。
どうするのが良いか
入力は必須にしたいところですが、ダイアログを強制的に出すなどをすると今度は「なんか嫌なシステムだな」と心理的な圧迫感を与えかねません。そうなると、ますます入力したくなくなるし、業務が辛いものになります。それは避けたいところ。
出来れば自然に気づいて、自然に入力してもらえるのが理想です。
そこで、一覧画面に入力の有無がパッと見て分かるようにするのはどうか?と考えました。
何か入力する際には一覧画面で検索してからという流れがあります。一覧画面に入力/未入力の状態が出ていることで気づきやすくなるはずです。
さらに、入力も一覧画面で出来たほうが良いかもしれない、とも考えられました。
◆まとめると、次の2つの改良案が出ました。
① 一覧画面で入力漏れに気づく工夫をしてみる。② 可能であれば一覧画面で評価の入力が出来きるようにもしてみる。
具体的にイメージする
上の案に沿って具体的に仕様を考える段階に入ってきます。まずはどんなふうに表示するのが良いだろうか、というのを具体的にイメージしてみます。
フィールドをそのまま出すことを想定してみると、3項目もあるのでなんだかゴチャゴチャしそうだなと想像されました。
幾つか案を出すうち、入力されたら小さく色だけを出すのはどうか?というアイデアが出てきました。
手描きでイメージをざっくり具現化してみます。
色だけでもパッと見て入力されたことが分かりそうですし、何よりゴチャゴチャせずスッキリとしたレイアウトをキープ出来るのではないかと思われました。
そこまで大掛かりな機能でもなさそうなので、この方法を実装してみることになりました。
一覧画面で評価を入力するには、ポップオーバーを置いてみるのはどうかとアイデアが浮かびました。
ポップオーバーであれば一覧画面でもそれほど邪魔にはならずに済みます。
実装結果と運用
こちらが実装してみた結果です。一覧画面を見るだけで、入力されたかどうかの状態がパッと分かるようになったのではないでしょうか。これはまさに見える化ですね。
例えばこのレコードでは顧客の評価(赤)は入力済みで、社内の評価(青)と制作者の評価(緑)に入力漏れがあることがひと目で分かります。
自然の流れで担当者が自身で気づき、しっかり入力を完了させることが出来るようになりました。
入力も、ポップオーバーでアプローチ出来るのはなかなか良い具合です。
画面を切り替えることなく、複数レコードを連続で入力できるのは作業的にも心理的にもラクになりました。
当面はこれでやってみようということになりました。
データも順調に溜まっているので、1ヶ月も経てば集計できる目処もつきそうです。
さらなる改良
さて、ここからは僕自身のオリジナルの考えになってきます。このレイアウトの場合はやはり色が目立ってしまう感じなので、逆の発想も有りかなと考えました。
つまり未入力の場合に色が付く、というものです。更に、デザイン的に縦並びにもしてみました。
その仕様に変えてみると、よりスッキリ感は出てきたように思います。
但し、スッキリ感が出たからといって、目的を果たせなければ意味はありません。
デザインはあくまで業務を助けるための一部だと思うので、どちらがいいかは随時精査して決めるのが良いと思います。
ながにぃの視点
どちらがいいかは随時精査して決めるのが良いと書きましたが、少し深掘りしてみると次のようなことが言えそうです。① コンプリート感を重視するなら色が付くパターン
② 入力漏れをキッチリ管理するなら色が消えていくパターン
こういったところが、ながにぃ的にこだわりたいところ。
なぜかというと、モチベーションに繋がるからです。
なので会社のタイプによって選んでも良いところかと思います。
例えば、営業的な要素が強い会社なら ① の方がモチベーションが上がる可能性は高いですし、管理色が強い会社なら ② の方が「仕事の評価」に繋がりモチベーションになるかもしれません。
最終的には「人間」に関わってくるのだと思います。
※ なので ①② 両方の会社も考えられます。まずは ① で入力に慣れてもらい、充分浸透してきたら ② に切り替えるという感じに。そうすることで別の重要なところに色を使った施策が使えるようになります。
まとめ
お客様と一緒に組み込んだ実例を元に、別のサンプルファイルを使って近いイメージでご紹介してきました。FileMaker はこのような感じで自社に合うように自由にカスタマイズできるのが特徴です。
まさに、かゆいところに手が届くというツールですね^ ^
オリジナルの業務改善システムを構築することで、良いお仕事ができるようになることを願っています!
今日も良い一日を♪
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